ロードバイクのクランク長を変えるとどう変わる?長くしてみた感想
ロードバイクのクランク長を170mmから172.5mmに変えてみたので、走りにどんな影響があるのかを、走行条件ごとのテストしてみたので感想をまとめます。
公開日: 2022.3.21
2世代前のアルテグラ・FC-6800クランクに交換
自分のメインバイクはMeridaのカーボンロードで、コンポはシマノ105・5800シリーズ(ブレーキだけはR8000のアルテ)、とコンポ周りはシマノの105グレードで固めていたんですが、クランクだけは高額なこともあって、組み上げてから約1年、純正のFSA Veloという安価なクランクのままでした。
今回、ネットでアルテグラの6800系時代(2世代前)のクランクを8000円という格安でゲットできたので組み付けてみました。
クランク長はずっと試してみたかった172.5mm、チェーンリングは50-34Tのコンパクトです。なぜ長くしたのかは後ほど。
機材的に変わったところ
重量の変化
まず、クランクの重さが変わっています。
交換前のFSAのVeloクランクの時は、クランク自体が750g、BBが290gで、合計1,040gでした。(意外と軽いですね。)
今回の交換で、FC-6800(コンパクトクランク)は重量は681g、BBはSM-BB9000で65g、合計736gということで、300gの軽量化ができました。
ロードバイクの軽量化というとホイールのアップグレードが定番ですが、300gくらい軽量化するには「鉄下駄からで5万くらい、ある程度のホイールからは10万くらい」出すイメージなので、1万円未満で300gの軽量化はコスパが良い気がします。
クランク長
FSA Veloクランクは定番の170mmクランクでした。今回172.5mmを選んだのは、「ハイケイデンスは楽なのに、踏み込む際に力が逃げる感じがあった」からです。
力が逃げるというとちょっと表現が違うかもしれませんが、思いっきり踏んでいる時に「すぐに踏み切れてしまう」という感じでしょうか。クランクの円運動で言えば、3時で踏んで4時から5時くらいのところで縦方向に力が抜ける感じで、踏める距離が短いので「ちゃんと踏めない」という感じがしていました。
そこでずっと試してみたかった172.5mmという一つ長いクランクにしてみました。ちなみに筆者の身長は175cmで、クランク長の選び方は、セオリー的には「身長の1/10 - 5mm」なので170mmが適正サイズです。
クランク長が変わると走りに変化はあった?
トルクがかけやすくなった
前提条件として、今回はエントリークランクから旧モデルとはいえアルテグラのクランクになったので、まず剛性が全く違います。止まった状態で車体ブレーキロックしてペダルを下に踏み込んでみるとわかりやすく、FC-6800はアームが全くたわみません。
Veloの時は明らかに内側にたわんでいましたし、それよりも安いロードだとグニャグニャっと曲がる感じでしたが、アルテのクランクは固めです。もちろん、全くたわまないわけではないですが。
クランク長を長くしたことよりも、その剛性の違いが大きいかもしれませんが、とにかく楽にトルクがかかるイメージがしました。
シーンごとに試してみると・・・
もうちょっと具体的な違いが知りたいなと重い、走行シーンを2種類に分けてテストしてみました。パワーメーターは持っていないので感覚値になってしまいますが・・・。
- 低トルク・ハイケイデンスで楽になるか?(抜重ペダリングでの楽さ)
- ハイトルクでの足への負荷
まず、(1)のいわゆる巡航速度スタイルですが、自分の場合は貧脚で、巡航速度は27〜30km行かないくらいですが、ややポタリングペースな時速25kmくらいまでは確実にペダリングが楽になったと感じました。ギア1枚分くらい軽く感じるイメージです。抜重ペダリングをすると、円周が大きい方がテコが効くので、その影響かもしれません。
一方で、ややトルクをかけた巡航速度まであげると少し重さというか、疲れを感じました。時速25kmからギア1枚分、速度的には3kmくらいあげるあたりで抜重がうまくできなくなるのか、筋肉への負荷を感じました。ただ、めっちゃ疲れるというよりかは、「時速25kmくらいまでの楽な感じがない」という方が適切かもしれません。この辺りは自分のペダリングスキルの問題な気もします。
(2)については、平地ハイギアと、5%ほどの短距離坂道でのダンシングで試してみました。
平地のハイギアについては道路的に時速40kmくらいまでしか出せなかったんですが、それでも「力が抜け切らない」感じがしました。「もっと行ける!」という感じです。
FSA Veloの時はトルクをかけても時速40km前後で「力が抜け切ってしまう」というか、力が縦方向にスコーンと逃げる感じがしましたが、FC-6800ではそれがなく、しっかり力が乗っている感じがしました。ただ、ここはクランク長というより剛性の方の影響が大きいかもしれません。
坂道については、「すぐ底(下死点)についてしまう」という感覚が減りました。以前は同じ坂を34-15Tくらいでダンシングをすると足が疲れ、そこから1段落とすと今度はスコーンと下にすぐ落ちてしまってうまくダンシングができない感じでしたが、34-15Tでスイスイスイとペダリングが出来るようになりました。
こちらも剛性の影響も大きいかもしれませんが、クランクの下死点が2.5mm下に落ち、上死点が2.5mm上に上がった(つまり、上下運動が5mm長くなった)影響はあるかと思います。
ケイデンス維持は苦しくなった?
よく「クランク長を長くするとケイデンスを維持できなくなる(円周が長くなるので)」と言われますが、巡航速度でケイデンス80〜90くらいでは回すのが辛いという感じはありませんでした。走行後の足への負担も増えている感じはあまりしません。
この辺りは、体調や風の影響もありますし、3時間とかのロングライドになって初めて感じるのかもしれません。
元々、個人的にはローケイデンス・ハイトルクが苦手で、ロートルク・ハイケイデンス(と言っても90から100rpmくらい)のが好きななので、クランク長を長くすることでここが苦しくなったら嫌だなと思っていたんですが、影響が少ないなら嬉しいですね。